リキッド3兄弟。タマチオについての解説。

 

TAMAZON presents 平成最後の新商品として5月前後に発売された3アイテムズ。
ファンシィな外観とは裏腹に、実はすごいスペックを秘めています。
今回は、その中でもタマチオについて。

タマチオ

ついにTamazonから、チオグリコール酸パーマ剤が発売されました。
アルカリ性のチオ主体のパーマ液。
これだけ聞くと、なんだか普通。
世の中の大半のパーマ液が、このカテゴリなんです。
安いところだと400mlで数百円で美容室に卸されてるジャンル。

なぜ今、Tamazonからわざわざこれを・・・・?

 

なんか。。。
メインであるはずのコールドパーマの説明が、ラスト三行だけ・・・?

この説明書の、大部分が縮毛矯正なのは、タマチオはパーマ液だからまぁわかるとして。
それよりも面積を占めてるのが、酸熱トリートメント。

酸熱トリートメントにアルカリチオ剤?!

タマチオの主成分

の前に、スペックを。

pH8.3
アルカリ度10
チオ濃度7

むむむ?
分かる人はこれで、「なんか只者じゃないな?」って勘付きます。

というのも、アルカリ度が10。
ヘアカラー剤なみの強いアルカリ。
これは超ハイパワーなヤバいやつなのでは・・?!
#ヤバイやつ

でも、pH8.3?
割とソフトじゃね?
普通のアルカリ強めチオパーマ液だと、少なくとも9以上。
9.4とかあってもおかしくない。
それが8.3。
実は、この数字が、絶妙なんです。

チオのpkaは10.4。
簡単に言えば、チオが最も活性するpHが10.4ってことです。
で、それを指数100としたときに、矯正でクセを伸ばすためには、
指数50は必要だとされています。
それを叶えるpHが、8.3なんです。
なので、この8.3というのにはこだわりました。

チオグリコール酸分子構造
チオグリコール酸

チオ濃度7
これは、いわゆる美容師会の協定で、チオは全体の7%しか配合してはならない、という決まりがあるので、その最大量である7%配合しました。

そして、アルカリ度。
講習などでお話していても、こういった数値で一番、みなさんがポカ~ンとすることが多いのが、
この「アルカリ度」。

ホントの名前は、〈酸消費量〉。
「ある液体の中にある、いろんなアルカリ性成分を中和するために必要な酸の量」みたいな。
なんかふんわりしてるよね~。
言葉にできない。

講習では
「pHは、パンチ力。髪の体力を削ったり、膨潤や軟化をさせるためのパワー。」
「アルカリ度は、そのpHを保つためのパワー。」

とお伝えしています。
そもそもの言葉のジャンルが違うんですね。

この数値、日本パーマネントウェーブ液工業組合の基準(守らなくても罰則とかはない)では、7まで、と決められています。
なので、世の中の「医薬部外品」の「パーマ剤」は、どんなに強くても、最大で7。
ところが、タマチオは、10もあるんです。
だから「医薬部外品」の「パーマ剤」ではないんです。
じゃ、なになのか?

「トリートメント」の「カーリング剤」なんです。

いわゆる、コスメ系とか化粧品カテゴリとか呼ばれるジャンルの、トリートメント。
このあたりが広告の闇の部分でもあるのですが。
「医薬部外品は国家試験を持ったプロしか扱っちゃだめで、髪への負担も大きい」
「コスメカール剤、化粧品登録の薬剤は髪に優しくダメージが少ない」
と思っておられる一般の方どころか、美容師さんでも、多いと思います。
だから恥ずかしげもなく「コスメ系だからダメージは少ない!」と広告しちゃうんですね。
でも、とんでもない。

医薬部外品はアルカリ度7まで
化粧品は上限なし


なんです。
化粧品の方が髪に厳しい。
この辺、要注意です。
髪を任せてもいい美容師さんかどうか、見極めるポイントのひとつです。

タマチオは髪の負担が大きいの?

話をタマチオに戻します。
アルカリ度10。
医薬部外品では発売できないくらい、キツイです。
髪の負担も大きいのか?
そりゃ、「絶対に傷みません!」なんて口が裂けても言いません。

しかも、臭い。
臭いから、青リンゴの香料を使ってます。
ついでに、植物の赤血球とも呼ぶべき
銅クロロフィリンナトリウムで緑の色をつけてますw

呼吸色素

この2つ、そっくりですよね。
それもそのはず、ポルフィリンっていう構造のものに、鉄がついてるか、銅がついてるかの違い。
肉食をする生き物の血液が赤いのは、鉄がついたポルフィリンであるヘマチンが混ざってるから。
別名、ヘモグロビン。
仮面ライダーの血が緑なのは葉っぱを食べてるから、葉っぱに含まれるクロロフィリンNaを含むから。
これは中心が鉄じゃなくてマグネシウム。
このマグネシウムを大人の事情で銅に置き換えたものが、銅クロロフィリンNa。

ちな、エビとかカニの卵(血液)が青いのは、シアニンっていう銅由来の物質が酸化したときの色。
ヘモシアニンっていう、上の2つの図にそっくりな物質が含まれてます。
こっちは最初から銅。
なんかややこしいな。。

これら 呼吸色素と呼ばれる物質は、その名の通り、酸素と強く結びつきます。
酸素を運びますからね。

なので、カラーの後とかに、ヘマチンを、特に頭皮に塗布します。
残留オキシドール(H2O2)は、日光にあたると分解され、ヒドロキシラジカルを発生します。
それが、肌を強烈に酸化(=老化)させ、肌トラブルを引き起こします。

そうなる前に、ヘマチンを塗布することで、H2O2から無理やりOを一つ奪って、
H2O、つまりただの水に戻すんですね。

また、ヘマチン類は、タンパク質と非常に結合しやすい性質を持っています。
もともとヘモグロビンだったものから、グロビンタンパクを引き剥がしたような形なので、
ヒスチジン残基があります。
これが、アミノ基とカルボキシル基を併せ持つので、もう、あちこちにくっつく。
ついでに、ビニル基ってのも持ってるので、システインともよくくっつく。

アミノ基、カルボキシル基については、タマ燦、タマグリの投稿もチェックして下さい。

カラー後のヘマチン使用には、もう一つ理由が。

Pフェニレンジアミン

酸化重合

こうなる触媒的な働きをしてくれるのもヘマチン。
「お薬をお茶で飲んじゃいけません」とよく言われますが、よく似た理由なんですね~。

パーマのときは、1剤に配合することで、ウェーブ効率が上がると言われています。
それについては、書くと長くなるので割愛します。

なんかヘマチンについて長くなっちゃいましたが、銅でも同じ効果があります。
タマチオは、アンモニアの消臭に青リンゴの香りでマスキングし、
同時に緑の色でウェーブ効率を上げています。

なんでアンモニア?

アンモニア

なんか、似てますよね。アレに。

アミノ酸

アンモニアって、アレでしょ。おしっこ。
人間の体とかお肉とかって、アミノ酸からできてて、それを食べてエネルギーを得るんですが、
そのために、最初にするのが、アミノ酸からアミノ基の離脱。
アミノ酸から外れたアミノ基は、アンモニアになるんですね。
これは体に有害なので、おしっことして排泄します。

で、このアンモニアは、水に溶けると水酸基OH-を発生する。
それが、グリオキシル酸のアルデヒド基側の結合を高めてくれるんです。

他にもいくつか、グリオキシル酸や他のジカルボン酸なんかの結合を高める効果があるんですが、
長くなるのでそれも割愛します。

アンモニアって、時代劇とかでたまに出てくる、失神したひとの気付け薬としても使われます。
それくらい臭いw

なんで臭いか?
揮発するから、鼻の穴に入ってくるから。

じゃぁ、臭くないアルカリ剤は?
という理由で、パーマ剤やカラー剤には、モノ(トリ)エタノールアミンというものがよく使われます。

モノエタノールアミン

アミノ基に酸化エチレンを反応させて製造。
アルコールの性質も持ち合わせ、揮発しない=臭わない。
だから、臭いを抑えたいパーマ剤などに配合されるんですが、、、

揮発しない=残留する。

一説には、水洗しても、ナニしてもずっと数カ月間も残留し、毛髪を傷め続ける、と言われています。
タマチオには、このエタノールアミンを使いたくなかった。
でも前項の理由でアンモニアは使いたかった。

アンモニアが臭い=揮発してそのうちに無くなる。
残留がないのです。

そもそも、アンモニアや、その仲間である尿素、グアニジンなどは、
グリオキシル酸に配合して商品化すべきものなんです。
けど、配合された商品はひとつもない。
なぜか。
某メーカーが特許で押さえちゃってるから。

グリオキシル酸にアンモニア系のアルカリ剤を配合すること自体が、特許侵害になる。
だから、ほかメーカーは配合できないんですね。
だからtamazonでは、アンモニアを別商品として発売したかった。
それが、タマチオです。

特許も考えものですね。
自社の利益の保護という意味を通り越して、
他社への牽制にとして使われている今回のケース。
それにより、グリオキシル酸本来の効果が発揮されないどころか、
お客様の髪のダメージに繋がる可能性もある。

そんな利己的な特許はどうか、放棄してほしいものです。

アルギニン

アルギニン

髪は20種類のアミノ酸から構成されています。
アミノ酸ってくらいなので、そのうちの殆どが酸性です。
けど、そのうち、このアルギニンとリシン。あとヒスチジンとかトリプトファンは、アルカリ性を示します。

アルカリ性を示すと、構造内のアミノ基が、グリオキシル酸やジカルボン酸のカルボキシル基と、静電気の力で引き寄せられやすい。

で、このアルギニン。毛髪がダメージすると、割と早期に流失します。
なので、タマ燦やタマグリと結合しやすいアミノ酸 を補給するという意味で、アルギニンを配合しています。
液中ではアルカリ剤。毛髪内に入ると髪の補強材として働いてくれます。

結構高価なので、予算の許す限りたくさん配合しました。
タマチオがちょっと割高なのは、アルギニンがたくさん入ってるから友言えます。

そのアルギニンと先のアンモニアの塩基性により、タマチオのpHとアルカリ度を作っています。

また、このアルギニンは頭皮の保湿、角質を整え、しみたりすることへの予防効果もあります。
パーマ後の肌が突っ張ったりする感じも軽減してくれます。

まとめ

使い方は上記マニュアルを見ていただくとして、
中身を簡単に言えば

  • 強いアルカリ度があるけど、優しい成分で構成されてる
  • グリオキシル酸やジカルボン酸の定着促進効果
  • お肌には意外と優しい

って感じです。
つまり、タマチオは、単なるアルカリパーマ剤じゃなくて、
今流行の酸熱トリートメント、水素トリートメント、髪質改善の、
プレアルカリ剤的な要素がつよいアイテムなんです。

還元トリートメントの、アルカリ還元剤としても相当に優秀で、
ノイズシェーンでは、タマみるくとともにプレ剤として使用しています。

Tamazon

タマチオはTamazonにてお買い上げ頂けます。
もちろん、トリートメントカテゴリのアイテムとはいえ、サロン専用。
https://www.tamacom.xyz/

Tamazon
タマゾン