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ショートパーマスタイル(OBP)をふんわりしっかり当てる5つの方法

年齢とともにどうしてもペタっとしがちなトップ。
ふんわりボリュームは欲しいですよね。

最近では、良いウィッグも出てきてますが、
やっぱり自毛が一番ラク。

ならやっぱパーマがスタイリングもしやすく、効果的にふんわりできます。
一昔も二昔も前の、いわゆる「おばちゃんパーマ」が一番ふんわりできますが、
アレは、毎日シャンプーをしない時代のもの。
週に一度、美容室に行き、セットをしてもらう。
その下地としてのパーマでした。
だから、自分で素敵にスタイリングできなくて当たり前です。

今は、毎日でもシャンプーする時代だし、ゆるめのパーマで、
スタイリングもブラしを使わず、指とドライヤーでさっとひと乾かしでできるのがいいですよね。

ただ、パーマを緩めにあてると…
根本にあたりづらい。
だから、根本がペタッと、毛先がくるっと、みたいな。

根本からふんわりあてるためには、どうすればいいのか?!

今回は、OBPをキレイにふんわり当てる(関西弁)コツを大公開

OBPとは?!

ふんわり。
すごく抽象的。
LA矯正講習でモデルさんと話して感じたこと。
「ペタッとするくらいなら、ダメージでふわふわしてるほうが好き。」
これ、OBPにも当てはまりません?
つまり、ダメージさせちゃったらボリュームアップ♪
これは間違いないです。そのニーズもしっかりあります。実は。
でも、それじゃぁ僕ら美容師は面白くない。
ダメージを抑えつつ、きちんと"技術"でふんわりさせる方法を考えてみます。

そもそも、コールドパーマのダメージとは?

パーマは髪が傷みます。
これは紛れもない事実。
じゃぁ、なんで傷むのか?
これを理解できれば、逆説的に、ダメージの少ないパーマの施術に一歩近づくはずです。

・アルカリダメージ


よく、「酸性だから傷まない」っていうまほうのじゅもんを口にする美容師さんがいますよね。
そんな人、信じちゃダメですよw
酸性だろうがアルカリだろうが、薬品だろうが、解釈の仕方によってはトリートメントでさえ、必ず髪は損傷します。

そんな中、アルカリがよくやり玉に挙げられるのは、
一般的な薬剤はほとんどがアルカリ性だから。
アルカリとは

アルカリ: alkali)とは一般に、溶解して塩基性水素イオン指数 (pH) が7より大きい)を示し、中和する物質の総称。

典型的なものにはアルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物)があり、これらに限定してアルカリと呼ぶことが多い。これらは水に溶解すると水酸化物イオンを生じ、アレニウスの定義による酸と塩基の「塩基」に相当する。一方でアルカリをより広い「塩基」の意味で用いることもある。

wikipedeaより

つまり、水酸基  (OH-)  が溶け込んで、pHが7よりも大きな数値を示す液体ですね。
美容室では、パーマ剤、カラー剤のほとんどがアルカリ性です。

ちなみに、水がpH7の中性なのが一般的ですが、
沖縄北部のようにサンゴ礁でできた島や石灰質の土壌に蓄えられた地下水などは、pH8以上の水道水もあります。

ただ、これは化学的な解釈であり、髪にとっては違います。
"等電点"って言葉があります。

等電点(とうでんてん、: Isoelectric point、IEP)はアニオンになる官能基カチオンになる官能基の両方を持つ化合物において、電離後の化合物全体の電荷平均が0となるpHのこと。
wikipediaより

髪はタンパク質、つまりいろんなアミノ酸からできてます。
18種類のアミノ酸を材料にして、キューティクルやコルテクスなどのパーツが作られ、
それらが組み合わされて髪を構成しています。

当然、パーツごとに使われたアミノ酸の種類は違いますので、イオンバランスも変わってきます。
アニオンやカチオンというのは、固定値ではなくて、相対値です。
つまり、pHが上がるごとにアニオン性が強くなったり、逆に酸に振るとカチオンになったり。
ヘアマニキュアの前に酸リンスを塗布するのは、そのためです。

髪をカチオン性に寄せてから、アニオン性であるへマニキュアを塗布して、イオン結合させる訳ですね。

つまり、イオンバランスはpHによって変化します。
トータルで見て、それら髪を構成しているパーツが、アニオンにもカチオンにも寄りすぎていない、
中和されているような状態。
これが、髪の等電点です。
髪がちょうどいい、ニュートラルな状態ですね。
それが、pH4.5~5.5だと言われています。

そのpHよりも高い液体は、たとえpH6だろうとも、髪にとってはアルカリ性なんです。


詳しく書くとキリが無いので割愛しますが、
強いアルカリにより、髪は

・タンパク質そのものが変性する
・キューティクルの剥離
・大きな膨潤により組織の破壊
・膨潤による内部組織(CMCやオルトコルテクスなど)の流失
・キューティクル表面にある18MEAの流失


などなどいろんなダメージが発生します。

・還元ダメージ


髪にはたくさんのSS結合があります。
コルテクスには22%、キューティクルには19%のSS結合があると言われています。

ん?
コルテクスを構成している分子のうち、22%がSS?
ってことは、コルテクスの44%がイオウ分子ってこと?
んなことはないよね。
100個中22個、11組って考えるのが妥当かな?
それはさておき

パーマ液、つまり還元剤で、そのSS結合を切断(開裂)させて、ずらすことで、ストレートなりカールなりのパーマを当てていくわけですが、
髪の側鎖結合には、SS結合だけじゃなくて他にも

3種類の側鎖結合で繋がり、安定しています。
この3種類の結合はまぁ、乾かしたりすることで復活していくんですが、
還元剤の"H"で還元され開裂したSSは、そのHを除去しないと再結合しません。

Hの除去に使われるのが、"O"。つまり酸化剤ですね。

Hをスムーズにすべて除去できれば、理論上はSS同士が再結合するのですが、
そうはうまくは行きません。
それもいくつか理由があります。

・Hがそもそもすべて除去できない
これを言ったらおしまいなんですがw
RSHという状態で、パーマ液は髪を洗っても洗っても、残留します。
pkaやらなんやらな理由で、半減はしていきますが、少しずつHを長期間、放出し続けます。

・Hを放出したRSが残る。
いわゆる、ミックスジスルフィドってやつです。
還元剤はRSHと表されます。
Hを出した後のRS。
Sがありますよね。イオウです。
だから、還元された髪のKSのSと、SS結合する。
こいつが、髪のS同士の再結合の邪魔をする。

・相手側のSがいない
これには2つ理由があります。
一つは、前項にあるように、高いアルカリで、髪のタンパク質が変性、つまり破壊され、Sが無くなってしまうこと。

PPTの抽出方法は、羊毛など動物性角質繊維(つまり毛)をアルカリ液に浸すことから始まります。
pH11とか13とかの強アルカリ。
すると、そのタンパク質を構成してるアミノ酸の結合がどんどん緩んでいき、バラバラになります。
最終は一つ一つのアミノ酸になる。

髪は18種類のアミノ酸からできてる、と前項にも書きましたが、それがバラバラになります。
その、途中で止めたのが、PPTですね。いくつかのアミノ酸の繋がりがまだ残ってます。

最近、活性ケラチンって言葉を耳にしますよね。
これは、SSを壊さずに抽出されたPPT。

どういうことかというと、PPTはアルカリ液に浸し、タンパク質がアミノ酸に分解されていきつつ、
変性、つまり壊れてもいく。
すると、アミノ酸の中でもシステインは、一番端っこにあるSが壊れてなくなるヤツが出てくる。

健全なシステイン

この、Sが欠損してしまったら。
2剤で再結合する時に、相手がいないシングルのS、ということになります。

もう一度、髪の結合図を

赤で囲ってる部分が、システインです。
左右の主鎖をつなぐ側鎖結合のひとつ。
SS結合を受け持ってる大切なアミノ酸ですね。
ココが壊れると、左右の主鎖がブラブラになっていきます。

ちなみに、相手がいなくなったS。
シングルでもう一方の主鎖とつながっちゃうわんぱくさんも出てきます。

ランチオニン

それが、ランチオニンと呼ばれる状態です。
シスチンと見比べると

シスチン

ランチオニンはSが一個足りないのが、わかりやすいですね。
両者は、主鎖を横に繋ぐ側鎖結合という意味では同じで、
髪の強度という観点からだと、どちらも善であり、重要なものです。

が、美容師からみると、ランチオニンを悪と捉える見方が強い。
というのも、パーマの理論をおもいだしてくだしあ。
SとSとのつながりはパーマ液で切れます。
逆に言えば、パーマ液で切れるのは、SとSのつながりだけ。
ランチオニンは、左右の主鎖を、単体のSでつないじゃってるので、パーマ液では切れない。
アホみたいな強アルカリで切れる、というかSが壊れるのですが、美容室では現実的ではない。
なので、ランチオニンは一度できちゃうと、もう切ることができず、スタイルチェンジができない。
だから、美容室では悪だと言われています。

が、縮毛矯正やデジパのように熱を使う施術は、少なからずランチオニン結合を応用しています。
特に酸性スピエラ矯正はより多くのランチオニンができると言われています。

ランチオニンによる形状形成を利用したシステムが、初期のアクアサイエンスです。

話を活性ケラチンに戻します。
PPTを、羊毛などから抽出する際、使用する強いアルカリにより、タンパク質が変性、
つまりアミノ酸が壊れる、
つまり、システインのSが欠損した部分が出てきます。
アルカリを強く、雑に抽出すれば、より壊れます。
というか、ほとんどのPPTはSが欠損しており、元のSS結合を示すものは皆無に近い。

それを、化学と技術の進歩により、Sを壊さずに抽出する。
これがミルボンのCDMAKであり、
クローダのSD300(あちらの世界ではCK300やクリアケラチンなんであだ名を付けてもらってます)であり、
タマコンAに採用した成和化成のキューティクラチンです。

タマコンA

一般的なPPTはペプチド結合として繋がりますが、片手しかなく、つながってない方はぶらんぶらん。
活性ケラチンは、その部分にSがまだ残ってるので、
髪の、相手がいなくなったぼっちのSと結合できる。両手でつながる。
つまり、二本の主鎖を繋ぐ側鎖になり得る、、、、のかもしれない。
この辺はちょっと微妙ではあります。


相手側のSがいなくなるもう一つは、ストレートをハードパーマに、ハードな癖をストレートに。
大きく変化させることで、「ズラシ」が大きくなり、車の運転で習う内輪差みたいな感じで、内輪と外輪の、
外輪側が大きく引き伸ばされるため、内輪側のSに、相手がいなくなる。

・髪のSがOとくっつく
システィン酸です。

システィン酸

Hを除去するために使用されるOですが、Hが無くなってもしつこくOがあると、
今度はHのかわりにOがSとくっつきます。
するとやはり、S同士の結合を妨げます。

・膨潤させすぎた
膨潤とは、水を吸って膨らむこと。
同時に、還元剤でSSが切られます。
すると、髪の膨らみとともに、S同士の距離が大きく離れます。
膨潤點せ過ぎると、収斂できちんと元通りの形に戻すのが難しく、結果、Sの相手が見つかりづらくなります。

こんな理由で、SSの再結合って結構、難しかったりするんですね。
パーマでは、全体の12%くらいのSSを切ると言われてます。
矯正はもっとです。

そして、再結合率は、どんなに丁寧に施術しても、93%程度と言われています。
雑な施術ならもっと低い。

このように、パーマ施術の度に、7%のSS結合が無くなっていく。
側鎖結合がなくなっていくわけですが、髪はゆるゆるになっていきます。
これが、弾力がなくなる、という意味です。

そして、この比率を少しでも高めよう、という研究が、
リフォールディングやバックリアクションです。

・物理的ダメージ

これは、摩擦などにより髪が損傷することです。
コーミングで峰でこする、バックコーム、引っ張って伸ばしちゃう、など。
アルカリにより軟化してる状態だと、よりダメージします。

パーマをふんわりあてる5つの方法

パーマによるダメージを細かく分類すると、以上の様になります。
そこから、弾力のあるパーマを、ふんわり当てる方法が導き出されます。

ダメージさせる

冒頭でも書きましたが、ダメージさせちゃうw
矯正でも、毛先が傷んでくるとボワッと広がりますよね。
ショートスタイルでも、ダメージによる広がりでのフンワリを期待してるゲスト、意外と多いです。
ツヤサラ髪を作りたいのは美容師の性(サガ)。仕方がないです。
気持ちはわかります。
でも、ゲストの気持ちを無視して、エゴでツヤサラのペタッとした髪質を作っちゃうのはNG!
例えば、近頃話題の酸熱や水素トリートメントなどは、どうしても髪の質量がアップします。
特にクエン酸系などは、髪の比重が重くなる。
ボリュームアップしづらくなります。
また、重い系シリコンメインのシステムトリートメントなどもオススメしない方が良いかもです。

パーマをキツく当てる

当てる、って大阪弁なんですってね。
関東というか標準語だと「かける」
例えば車のドリフトなんかでカウンターステア(逆ハン)などは?
「カウンターをあてる」とか言いません?

「キツく」というのは、2種類あると思います。
一つは、還元や軟化をしっかりさせて、しっかりあてること。
もう一つは、カールの径を小さくすること。
意外と、特に先輩美容師さんはここを混同されてる方も多いと思います。
OBPを当てるゲストならなおのこと。
「前の、すぐ取れたから、今回はしっかり強く当ててね。」
サロンでよく聴くお声です。
このとき、還元をしっかりすべきか、軟化を進めるべきか、径を小さくするべきか。
しっかり考慮すべきです。

・還元を進める
前項でも書いたように、還元をしっかり行うことで、SSをより多く開裂し、ズラし、再結合させる。
開裂しなかったSSとの比率が高まれば、当然、もちのいいパーマになります。
持ちを良くするためには、径を小さく(ロッドを一つ落とす)のではなく、還元を進める、という選択肢もあります。

・軟化をしっかりさせる
これはアルカリを使用するので、膨潤を進めることにも繋がりますし、基本的にアルカリが強まれば還元剤の還元効率も上がりますので、結果として還元を進めることにもなります。
同時に、同じロットを使用しても、仕上がりのカール径は小さくもなりがちです。
軟化が進めば、髪は形を変えやすくなりますので、パーマもしっかり当たります。

・カールの径を小さくする
径が小さくなれば、いわゆるチリチリパーマ。大仏パーマになりますね。
近頃見なくなりました。

大仏パーマ。OBPとも。

美容師の高等テクニックによるブローやカーラー施術を前提としたスタイル。
20年以上前に主だった概念であり、
ゲストは週に一度、サロンでシャンプーとスタイリングをする。
当時のホームケアとは、そのスタイルを一週間もたせることであった。
そのための下地としてのパーマ。

美容師のケミカル知識が少なかった当時、パーマは"あたる"か"弱い"かの二択だった。
強く当てるともちが良い、良いパーマと評された。
セットをしても、髪を濡らしてしまうと大仏に戻ってしまうため、シャワーキャップや、睡眠時のナイトキャップなども頻繁に用いられた。
家庭でシャンプーすることは皆無であり、故に髪がダメージしていても気が付かない。
施術ではダメージを無視してよかったあの頃。
加齢により毛量が少なくなったOB達の救世主となった概念である。
OBPは「おばちゃんパーマ」の略語。 OBはおばちゃん。
tamapedia より引用~

アルカリチオによるパーマは、普通に当てると、健康毛には当たりづらく、ダメージ部分には強くあたってしまう。
そのため、毛先がチリチリ、根本は弱い、という仕上がりになりがち。
それをカーラーセットでシャンとさせ、ハードスプレーでロック。
ロックなスタイルである。

ケミカルに対する理解が深まり、ゲストを取り巻く環境もかわり、
OBPは必要とされなくなった。
ココからのスムーズな脱却が、サロンでのパーマ比率を向上させる一大テーマとなる。

ただ、パーマを強く当てることで、ボリュームが出るのは事実。
もちが悪いと、リピートオーダーも無くなってしまう。
コスパの良い施術のために、もちがよく、スタイリングしやすいパーマ施術が必要。
以下の項目をご参照下さい。

根本にしっかりと当てる

パーマは強く当てるとボリュームがでる。
ただ、アルカリチオの性質は上記した。
ならどうするか。
酸性チオなら健康毛への浸透は高い。
でも還元は進まない。
なら、低アルカリでも還元する還元剤を使うか。
でも、代表的なスピエラやGMTは肌感作(肌荒れ)が怖いからOBPには使いづらい・・・
ならどうするか。

・根本巻き
ロッドに根本から巻き込むテクニック。
パーマは小さな径のロッドで巻いたほうが強く当たる。
普通にワインディングすると、まず毛先を巻き込み、2周目からは、毛先の毛の上に巻かれる。
3周目、4周目となると、どんどん重ねられ、巻き込む「軸」は太くなり、根本ほど太いロッドで巻かれたのと同様となる。

つまり、物理的に根本は弱くなってしまう。
それを避けるために、根本をロッドに直接巻き、その根本の毛の上に重ねるように毛先に向かって巻いていく。
結果、毛先が一番太いロッドに巻かれることとなる。

ただし、メンドクサイ。
やりたくない。
そこで、タマコン♪

タマコンK

タマコンはKとAをセットで使うシステムですが、
そのなかでもタマコンKはこういう時に便利。
・浸透効果
浸透しづらいアルカリチオでも、キューティクルの膨潤を待たずに浸透させます。
結果、根本が当たりやすくなります。
・収れん効果
ポリフェノール、赤ワインレスベラトロールによる、ダメージ部分の保護。
ごく自然な収斂により、ダメージ部分へパーマ液が浸透しすぎるのを防ぎます。

つまり、タマコンKをパーマ液塗布前に使用するだけで、
根本はしっかり、毛先はソフトにパーマが当たるのです♪
なので、ワインディングのゴムかけは一つ緩めると吉。
いつもどおりだとクレバスが付きやすいかも。

タマコンA

タマコンAはいろんなPPTや、より小さなアミノ酸のミックスコンク。
Kに重ねてAを使用することで、ダメージ部分のタンパク質による保護、強化を行います。
タマコンKによりこちらも浸透し、Kとのコンプレックス効果で高定着。
毛先のダメージホールを埋め、余計なパーマの浸透しすぎも防ぎます。

加齢で失われた成分を補給する

前項までは物理、ケミカル的な施術方法。
ココでは、生体的な観点から。

髪は18種類のアミノ酸からできています。
つまり、タンパク質です。
タンパク質繊維の間をCMCと呼ばれる脂質が埋めています。
パーマはスルフィド、つまりSSに作用します。
SSが欠損した髪にはパーマが当たりづらいのは自明。
SSはシステインに存在します。

そして、加齢により、CMCとともに、そのSSが減少することがわかっています。
また、ダメージでも、それらは減少します。

それら減少した成分を補給すれば、若々しい、健康的な髪に戻すことができます。
SS、つまりシステインとCMCを、パーマ施術と同時に補給する。
そのコンセプトのもとに開発されたのが、たまみるく。

タマみるく

そうです。
髪を構成しているシステインと、パーマ液のシスって、同じものなんです。
システインは中国の方の髪から作られているとも言われています。

昔から、シスは高級パーマ液で、髪がしっかりする、と重宝されていましたが、
いつの頃からか廃れました。
いつの頃から?カラーが流行った頃から。
なぜ?傷むから。

システインの活性、つまり安定のためには、pH10.4必要だと言われています。
低いpHだと、シス酸化し、2つくっついて、シスチンになる。
シス系パーマ剤の注ぎ口に結晶したものがたまりますよね。アレです。
もうパーマをあてる力は失われています。

ですから、昔のシス系パーマ剤はそんな高いpHで作られていました。
むしろ、髪に負担が強いと言われるチオ系パーマ剤は8.4で十分。9もあればハード用と定義されます。

健康毛なら、pH10への耐性もまだありますが、パーマを繰り返した髪、カラーでダメージした髪にpH10をぶつけると、
途端に損傷が進みます。
シスを一番使いたい髪へ、使うことができない。
これがシス・ジレンマです(今作った言葉)。
そのジレンマを解消すべく開発されたタマみるく。
pH7.8、アルカリ度1未満という微アルカリなのに、活性、つまりパーマが当たります。

CMCも、エルカラクトンやエルデュウを始め、豊富に配合されています。
白髪染めをした髪などへは、単体でしっかりOBPを当てることができるスペックを持っています。
当たり上がりはふんわりなのにしっとり。
CMCとシステインを高濃度で補給しながらパーミング。
「髪がふえたみたい」
仕上がりの髪を触ったゲストは口を揃えてそう言います。
それが、《タマみるく》

たまみるくの浸透、システインの定着にも、タマコンは有効です。
タマコン前処理の、たまみるくでのパーミング。
これが一番お手軽なふんわりパーマです。

架橋を損なわない

架橋とは、髪のメイン縦軸である主鎖を、横に繋ぐ側鎖のこと。
SS結合など、上項でも触れました。
これを損なわない施術。
つまり、ここでは、SS結合を減らさない施術が大切だと言えます。
リフォールディング、バックリアクションと呼ばれるものですね。
ただし、これらはまだまだ、研究中の"学問"です。
サロンワークでできることも限られています。

・pHは低めで。
強いアルカリは、髪のSを欠損させます。
還元剤の活性度とのバランスもありますが、最低限のアルカリでの施術を心がけます。
OBPのように弱い髪へは、いわゆる、低pH高還元を狙うべきなのですが、
高還元にも先述したように、SS再結合率の低下などのリスクはあります。

・膨潤は最低限で
膨潤するほどに、SとSの距離が離れます。
再結合時にミスが生じやすい。
間に何かが入りやすい。
感触としても、強いアルカリを使ったパーマは、仕上がりに弾力が損なわれているのを感じますよね。

・SS再結合率を高める施術を
リフォールディングそのものについては、いくら文字数を費やしても足りないので、また別の機会に。
今回は、簡単にできることで
ジチオ増量を。
2剤塗布がポイントです。
メーカーが発売してるパーマ2剤の濃度は
ブロム 2%
過酸化水素 1.5%
のものが多いかと思います。
1剤の還元剤量に対し、バランスのいい2剤濃度なのですが、
リフォールディングにおいては、ちょっと乱暴です。
あの例の式(KSSKとか)も面倒なので割愛。
要は、ジチオを増やし、洗い流すと、結果としてSSの再結合率が高まるのです。
基本的な濃度の2剤は、開裂された髪のSSを戻すためのもの。
でも、その前に、髪に浸透し、出ていこうとしない還元剤を減らしてあげることが大切なんです。
そのために、まず、還元剤を酸化させる。
還元剤の酸化?
もうおわかりでしょう。
RSH+RSH+O=RSSR+H2O
ですね^^
簡単に考えて下さい。
還元剤RSHは活性しており、イオンを持っています。
髪の中にイオン吸着してて、水洗しても流れません。
そこに酸化剤Oを持ってくると水素Hを酸素Oに取られ、RSになります。
そのRS同士がSS結合し、RSSRというジチオになります。
こいつは不活性なので、水洗で洗い流せます。
水素Hと酸素Oがくっついて、水になります。

アフェリエイトではありません。

何も無くなったら、もう、髪のSたちはやることがないし邪魔もいないので、
くっつくしかなくなります。
これが効率のいいSS再結合。

具体的には、簡単なのですが、薄い酸化剤をたっぷり塗布することw
メーカーの酸化剤を4倍位に希釈してもいいし。
その分、量はいつもの4倍以上つけて下さい。
タオルじゃビショビショになるので、シャンプー台で塗布してもいいですし。
それを応用したのが、タマ式矯正のゼロタイム酸化です。
詳しくは講習で^^

薄い酸化剤だと髪のSS再結合の前に、還元剤が酸化されがち。
その時のpHはアルカリのほうがイオン的にも都合がいい。
薄い酸化剤は酸度も薄まってるため、髪を酸性に戻さない。
大量に塗布することで、水洗と同様の効果ももたらし、ジチオを洗い流しやすい。
ただし、そのままだと髪の酸化には不十分なので、
濃度を濃くした酸化剤を重ねて塗布します。
だんだんと濃く、4回位するのが理想的。
ゆっくりと。

中間水洗をしっかりするのも効果的です。
が、たまみるくを使った場合、システインはむしろ残したいので、
中間水洗はしない方が仕上がり感は高いです。

システィン酸
髪のSが酸素Oにぐるっと囲まれた状態。
いくない。
どうしてこうなった?
これは、酸化を急いじゃったから。
高濃度の酸化剤を、活性しやすいpHで使っちゃったことも原因の一つ。
例えば、アルカリ環境でOX、
酸性環境(酸リンス後など)でブロム酸を使うという、一昔前なら当たり前のことも、システィン酸生成の原因となります。
Oが邪魔して、髪のSS再結合ができない。

マレイン酸を2剤処理の後半のタイミングで使うのも効果的。
マレイン酸はチオールSHを吸着する性質があります。
ここでいうRSH、つまり還元剤ですね。
マレイン酸に吸着させ、不活性化することで洗い流しやすくなります。

マレイン酸は1剤に入れちゃだめ!ぜったいにだ!

マレイン酸は1剤に入れちゃだめ!ぜったい!
二重の意味でだめ。
・1剤のパワーダウン
酸なのでpHが下がるってだけじゃなくて、
SHをきゅうちゃくしちゃうんだ。
かんげんざいをきゅうちゃくして、はたらかないようにしちゃう。
だからぱーまのあたりがよわくなるんだ!

・SS再結合の邪魔
上のずをしっかりみてほしい。
下はんぶんは、オラプレックス、スープレックスなど、
ジマレイン酸ビスアミノプロピルジグリコール
INCI Name : Bis-Aminopropyl Diglycol Dimaleate

についてなので、ここではかつあいしちゃうぞ♪
カニさんのようなかたちのマレイン酸。
ちょうどおしりのぶぶんに、SHがくっつくんだ。
そのSHとは、パーマえきでもあり、かんげんされたかみのSとかんげんざいからきりはなされた水素Hがくっついた、
KSHでもあるんだ。
かみのSにくっついたマレイン酸は、ちょうどミックスジスルフィドのように、SとSのあいだにそんざいして、
いくらさんかざいをとふしても、けっしてSSがさいけつごうすることはないんだ!

・いつつかうの?
ココからは大人向けの解説を。
酸化処理時の後半がベスト。
つまり、髪のSSが大半、酸化され再結合したあとに。
それでも酸化再結合しきれないSはぼっちで残る。
いつか、空気中の酸素などにより、システィン化するのがオチ。
そうしないために、ヘマチンなどで蓋をするというのは何十年も前から行われてきた。
マレイン酸での蓋も有効であり、さらにマレイン酸は、短く内向きだとはいえ、カルボキシル基COOHを持っているため、毛髪やPPTのアミノ基NH2との結合の可能性も残されており、架橋となりえる可能性はある。

架橋を増やす

元から髪がもつSS架橋を減らさないのも大切ですが、加齢毛などSSが少ない髪も。
そんなときは、架橋を増やすのもでき得る手段の一つ。

・ハードスプレー
ブローでボリュームを出すのは、水素結合を利用した施術。
ボリュームアップした髪にハードスプレーでかっちりロック。
これは、髪の外側をぐるっと、固まるポリマーで架橋をかけている行為にほかならない!
ロックだぜ!

・アミノ酸補給
特にシステイン。
たまみるくはシステイン。
また、タマコンAにはアミノ酸スープと、特にアルギニン、リシンを増強しています。
アルギニン、リシンは、ダメージした髪がまっさきに失うアミノ酸。
そして、PPTやジカルボン酸などはこのアルギニン、リシンによくくっつきます。
それらをタマコンKで髪にかっちりロック!
ロックだぜ!

・ジカルボン酸
PPT類は髪に使用しても、架橋はしません。
片腕しかなく、タンパク質やアミノ酸にくっつくだけ。

アミノ酸1号のカルボキシル基に2号のアミノ基がくっつきます。
髪にはアミノ基がたくさんあるので、髪のアミノ基と2号のカルボキシル基もくっつきます。
ここで1号のアミノ基NH2がどこかにくっつけば、架橋の完成。
でも、髪には有効なカルボキシル基はありません。
アミノ酸3号がやってきて3号のカルボキシル基と1号のアミノ基がくっついたとしても、
今度は3号のアミノ基がくっつくところがない。
永久に、どんどん連結はされたとしても、髪の主鎖にはくっつかないため、架橋は完成しない。
ちょうど、レゴのような感じ。
凹には、凸がハマりますよね。
まぁ、やらしい♡
どんどんハマっていって・・・その末端は?
ハマるところがない。
レゴに、どちらも凹のパーツがあれば、作品の可能性は広がるのに。。!

そこで、ジカルボン酸です。

フマル酸

いうなれば、どちらも凹な存在。
それがジカルボン酸。
両サイドにカルボキシル基があるので、
どちらにもアミノ基が結合する。
2つのアミノ基を繋ぐ。
髪どうし、
髪とPPT、
PPTどうし、
髪とシステイン
などなど。
ジカルボン酸があれば、うまくいくことが増えるかもよ。
ロックだぜ!

酸熱ってOBPにどう使うの?
ほとんどどのメーカーがジェル状やクリーム状で、
しかもカラーが褪色する??

そんな声が聞こえてきそうですが、タマ燦でおk!

使い方も超簡単。
あらかじめ30倍希釈スプレーを作っておいて、
アウトバストリートメント、またはブローローションとしてシュッシュッと
根本から。
お肌についてもOKです。
その後は普通にブローするだけ。
使い方は簡単ですが、お客様に販売しちゃだめ!
薬価法的にもアウトだし、
トリートメントのように使えますが、酸性剤、つまりお薬です。
お客様ができ等に毎日お風呂上がりに使うと、効きすぎてかえって質感の低下の可能性も否めません。
パーマの後、サロンで後処理として使うのなら問題はありません。
カラーの褪色もないので、安心して使ってくださいね。

サプリメントを飲んでもらう。

今度は、体の中から健康に。
加齢により髪にシステインが減るなら、それらを積極的に摂取して、増やしてもらえばいい。
髪は摂取したものがどんどん現れます。

amazonには飛びません

システイン、グルタチオン、メチオニン、HMB、プロテインなどなど。
確かに、パーマは当たりやすくなります。
同時に腸内環境も改善しましょう。
食べたタンパク質をケラチンに変換し、髪に送り込むのはビオチンの働き。
腸内善玉菌の仕事です♪
逆に、卵の白身を生で食べるのはNG!
含まれるアビジンという物質が、大切なビオチンを吸着してしまい、ビオチンが欠乏します。
結果、髪が弱くなるだけでなく、白髪も増え、薄くもなります。

アウトバスは軽いものを

ショートスタイルだと、ついつい使わないアウトバス。
そんなに傷んでないし、何よりも重くなってペタッとなる。
確かに、シリコンベース、油脂分たっぷりのものが多いため、ショートでふんわりさせたいときは敬遠しがち。
頭皮についちゃうとあまり良くない製品も・・・。

でも、タマセラムなら大丈夫♪

なんといっても、お肌用美容液成分だけで作られてるのがポイント。
頭皮から塗ることで、育毛、頭皮のコンディショニング効果も。
また、システインや水溶性ビタミンCなど、抗酸化物質、白髪予防成分も豊富な上、
アウトバストリートメントとしては珍しく、
髪を中から弾力がでるように設計されています。
ドライヤーするとどんどんツヤ感とハリ感がアップしながら、
オイルやシリコンの重さも感じません。
コールドパーマの残臭をマスキングする精油のアロマも魅力。

使う度に髪が内面から強くふんわりするアウトバストリートメント。
むしろ全身美容液。
それがタマセラム(コンデンスみるきぃセラム)です♪

まとめ

という8の方法を実践すれば、根本からふんわり、おばちゃんパーマを当てることができます。

・ダメージさせながら
・ダメージを抑え
・タマコン前処理をしながら
・パーマ液はたまみるく
・中間水洗はせず
・2剤は4倍希釈から徐々に濃くする
・後処理にタマ燦30倍
・タマセラムでコンディショニングしてフィニッシュ

これで明日から、ゲストの髪はモリモリのアゲアゲだぜ!

ファンクだぜ!

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